株主コミュニティとは
企業の資金調達の支援や、株主の見える化、管理コストの削減、株主の換金性向上等の観点から、非上場株式の取引ニーズに応えることを目的として、2015年5月に創設された、非上場株式の流通取引の制度です。
証券会社が非上場株式の銘柄ごとに株主コミュニティを組成し、これを自己申告により参加する投資家に対してのみ、投資勧誘を認める仕組みとなっています。
株主コミュニティの参加者とは
主に、非上場企業の株式の取引意向がある方が参加者となります。例えば、その会社の役員、従業員、その親族、株主、継続的な取引先などの会社関係者や、成長企業への資金供給により成長を支援する投資家、地域に根差した企業の財・サービスの提供を受け、株主優待を期待する投資家などです。
株主コミュニティの組成・運営・規制について
日本証券業協会より、株主コミュニティを組成・運営する証券会社として認定される必要があります。
認定を受けた証券会社は、株主コミュニティ銘柄となりうる会社の財務状況等を審査し、適当と認めたもののみ、組成が可能となります。また、株主コミュニティの参加者のみに株主コミュニティ銘柄の投資勧誘を行うことが認められています。参加者以外の投資家に対し、株主コミュニティ銘柄の投資や参加を勧誘することは禁止されています。
証券会社は、どのような株主コミュニティ銘柄を取り扱っているかを、銘柄名や会社HP等の基本情報のみ公表します。株主コミュニティ銘柄を発行する会社の財務状況等の詳細情報については、参加者のみに提供が可能となります。
株主コミュニティのメリット
投資家が株主コミュニティに参加することで、未公開株式の取引が可能になり、株主優待など企業が提供するサービスを受けられることができます。
企業が株主コミュニティを組成し、自社株取引の場を設けることで、株式分散の集約、安定株主の獲得、資金調達などが可能となります。その他にも、地域に根差した株主優待制度で、地元利用者への知名度向上、地域経済への貢献が期待できます。
株主コミュニティのデメリット
上場銘柄と異なり流動性が低いため、価格が大きく変動することや、売買がスムーズに行えない可能性があります。
投資先の企業が倒産した場合など、状況によっては価値が失われる可能性があります。
取引は証券会社の店頭でのみ行われます。
日本の非上場企業マーケットの拡大に期待
米国では上場マーケットが縮小していく一方で、非上場マーケットが拡大しています。
日本においては、上場企業が大きなマーケットを占めており、非上場企業マーケットは整備されていない状況です。
今後は、日本においても非上場企業マーケットの拡大が期待されています。
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