自社株対策や事業承継などの理由から、組織再編を検討する法人オーナーが多くいらっしゃいます。
また、気付いていなかったけど、いざ専門家に相談してみたら、メリットを感じて実行したというオーナーも多くいらっしゃるようです。
HD化と一言でいっても、様々な仕組みがあります。
HD化=金融機関(主に銀行など)から融資を受け、会社の株式を買い取るイメージが強い方もいらっしゃいますが、決してそれだけではありません。種類株の発行や自社株対策を行うことで融資なしでもHD化することは可能です。
HD=ホールディングとは、持ち株会社のことで株式をHoldすることから名付けられています。
HD化のメリットとは?
1.意思決定の迅速化
HD自体はグループ全体の意思決定に特化し、傘下の企業に個々の事業を任せることが可能となります。このことから、効率的な会社運営が可能となります。
2.事業のリスク分散
HD化により、傘下にそれぞれの事業がぶら下がった形になります。仮にHDの傘下にA社、B社、C社があるとします。C社が損失を出した場合、HDとC社は損失を計上しますが、A社、B社は影響を受けずに済みます。その様な場合に、C社のみを売却することで、HDとA社、B社の事業会社を守ることが可能となります。
3.人事制度の効率化
HDの傘下であっても事業が異なれば人事制度や人事評価も異なります。事業会社ごと意思決定を持たせることで、人事制度の効率化もメリットとなります。
4.M&A防衛策
HDの傘下に事業会社を保有した場合、外部からのM&Aは株式の取得が困難になることから、実質的に不可能となります。一方、事業会社の売却を行う際には資産査定(デューデリジェンス)が行いやすく、容易に売却することが可能となります。
5.損金算入限度額の増加
HDは子会社からの受取配当金全額を不算入扱いすることができます。また交際費も年間800万円まで、各事業会社が損金算入することが可能となります。
HD化のデメリットとは?
- 傘下の事業会社が都合の悪い情報をHDに隠す可能性
- グループ全体の方針において傘下の事業会社間で対立が起こる可能性
- 傘下の事業会社間で業務が重複しコスト増につながる可能性
などが挙げられます。
HD化する3つの方式とは?
1.抜殻方式
事業会社自体がHDとなり、事業内容を事業譲渡や子会社分割で子会社に移す方法(例:NTT、イオンなど)
2.株式移転方式
株式移転とは自社の全ての株式をHDに取得させる方法で、既存の株主には、HDの株式が交付されます。(例:バンダイナムコなど)
3.株式交換方式
株式会社Aが発行済株式の100%を他の株式会社Bに取得させることで、A社はB社の100%子会社となります。
このように、HD化や分社化には様々なメリット・デメリット・方式があります。HD化は企業の目標達成のための手段となるため、ニーズに合った方法を専門家と共に検討してみてはいかがでしょうか。
記事による意思決定は、様々な判断材料に基づいて行う必要があります。記事の内容を実行される場合には、専門科等に個別具体的にご相談の上、意思決定ください。本記事をそのまま実行されたことに伴い、直接・間接的な損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。