
自社株の相続対策の重要性
自社株は、現金や不動産と同様に価値を持つ資産です。
優良企業では、その価値が時間とともに上昇することが多く、相続時の評価額が高くなることで、多額の相続税が発生するリスクがあります。
特に、後継者が相続税の負担を理由に株式を手放さざるを得ないケースも少なくありません。
そこで注目されるのが、一般社団法人を活用する方法です。
一般社団法人の活用メリット
1、相続税対策と経営権の安定化
一般社団法人は株主がいないため、株式の分散を防ぎながら、自社株を法人名義にすることで相続税の負担を軽減できる可能性があります。
2、事業承継の簡素化
理事や社員の変更のみで、法人が所有する自社株を管理できるため、相続発生時の手続きが簡素化されます。
3、相続税・贈与税の負担軽減
持分がないため、個人の財産と見なされず、直接的な相続税の課税対象になりにくいといえます。ただし、2018年の税制改正により、過度な節税目的での利用は厳しくチェックされるようになっています。
4、資産の蓄積と安定運用
配当の必要がないため、企業の利益を社団法人に蓄積しやすく、長期的な経営安定につながります。
一般社団法人活用の注意点
1、相続税リスク
2018年の税制改正により、設立から3年以内に相続人が理事になる場合、一般社団法人が所有する財産が相続財産とみなされる可能性があるため、注意が必要です。また、相続人が理事の過半数を占めている場合も、実質的に個人の財産とみなされ、相続税の対象となるリスクがあります。
2、維持コスト
法人税や登記手続き、税務申告が必要で、一定のコストが発生します。
3、会社売却が難しい
一般社団法人は株式を持たないため、M&Aを考えている場合には注意が必要です。ただし、法人が所有する自社株を売却する、解散して株式を相続人に移す、または事業譲渡を活用することでM&Aを実行することも可能です。
このように、一般社団法人の活用は、会社を長期的に存続させるための有効な手段ですが、適切な設計が必要です。相続税の負担を軽減しつつ、経営の安定化を図ることがポイントです。
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