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令和8年度税制改正の核心─“富裕層課税強化”と“不動産評価の転換”で経営戦略はどう変わるのか

2026年、日本の税制は大きな転換点を迎えています。

「年収の壁」への対応という“減税”のニュースが注目される一方で、
その裏では経営者・富裕層に直結する重要な改正が複数盛り込まれました。

特に影響が大きいのは、次の3点です。

  • 超高所得者へのミニマム課税の拡大
  • 貸付用不動産および小口化不動産の評価見直し
  • 事業承継税制の承継計画期限延長

これは単なる制度改正ではありません。
資産戦略・承継戦略を再設計すべきタイミングを意味しています。

本記事では、経営者・事業オーナーの視点から、令和8年度税制改正の本質を整理します。


■ 今回の税制改正の全体像

令和8年度税制改正では、幅広い分野で見直しが行われました。

【所得税】

  • 基礎控除引上げ(課税最低限178万円へ)
  • NISA拡充
  • 暗号資産の分離課税導入
  • 超高所得者へのミニマム課税拡大
  • 防衛特別所得税の導入

【資産税】

  • 事業承継税制の承継計画提出期限延長
  • 医業継続特例(認定医療法人)の延長
  • 貸付用不動産の評価見直し
  • 教育資金一括贈与制度の廃止

【法人税】

  • 特定生産性向上設備等投資促進税制の創設
  • 賃上げ税制の一部廃止

その中でも、経営者層・富裕層に直接影響する改正を詳しく見ていきます。


■ ① 超高所得者へのミニマム課税の拡大

─“1億円の壁”はさらに低くなる

従来、株式や不動産の売却益などは分離課税(約20%)が適用されるため、所得が増えても実効税率が抑えられるケースがありました。

しかし今回、

  • 特別控除額が 3.3億円 → 1.65億円へ縮小
  • 税率が 22.5% → 30%へ引上げ
  • 令和9年分から適用

となります。

🔎 何が起こるのか?

例えば、

  • M&Aによる株式売却
  • 不動産の大型売却
  • 上場株式の多額譲渡

といったケースでは、従来より早い段階で追加負担が発生します。

実質的な最低税率は約30%水準へ。

👉 売却タイミングの見直しが極めて重要になります。


■ ② 貸付用不動産の評価見直し

─“評価差”を前提とした相続対策は転換点へ

富裕層への影響が最も大きいのが、不動産評価の見直しです。

【対象】

相続開始前5年以内に取得した貸付用不動産
(一棟マンション・ビル・区分マンションなど)

【変更点】

従来:路線価評価
改正後:原則「取得価額(実勢価格)」ベース


■ 何が変わるのか?

これまで、貸付用不動産は実勢価格より低い路線価評価を活用し、相続税評価額を抑える設計が可能でした。

しかし今回、

👉 取得から5年以内の物件は実質的に“実勢価格評価”へ

短期取得による評価圧縮は成立しにくくなります。


■ そして「小口化不動産」はどうなるのか

ここで注意すべきなのが、不動産小口化商品です。

  • 任意組合型商品
  • 匿名組合型商品
  • 区分化された不動産投資商品

近年、「少額からできる相続対策」として広く活用されてきました。

しかし今回の流れでは、

小口化商品は“取得から5年以内”という年数要件ではなく、
評価方法そのものが見直される方向です。

つまり、

✔ いつ購入したかに関わらず
✔ 保有年数に関係なく
✔ 取得価格(取引実勢価格)ベースでの評価へ

整理される可能性が高いということです。


■ 国が示しているメッセージ

今回の改正は、「5年以内かどうか」というテクニックの話ではありません。

実勢価格と評価額の乖離を利用する節税は抑制する

という方向転換です。


■ 小口化商品が否定されたわけではない

重要なのは、小口化不動産そのものが問題視されたわけではない点です。

  • 分散投資
  • インカム目的
  • 管理負担軽減
  • 流動性確保

といった観点では合理性はあります。

しかし、

「評価差による相続圧縮」を前提とした設計は再検討が必要になります。


■ 不動産戦略は“評価差”から“総合設計”へ

今回求められるのは、

✔ 納税資金の確保
✔ キャッシュフロー設計
✔ 資産の流動性確保
✔ 分散投資の再構築

という総合的視点です。

不動産中心の相続設計は、いま大きな転換点を迎えています。


■ ③ 事業承継税制の承継計画提出期限延長

法人版:1年6か月延長
個人版:2年6か月延長

一見ポジティブですが、重要な点があります。

⚠ 適用期限自体は延長されていない

大綱では

「令和9年度税制改正で結論を得る」

と明記されています。

つまり、

  • 恒久化は未定
  • 将来的な見直しの可能性あり

👉 先送りせず、今のうちに承継設計を固めるべき局面です。


■ ④ その他、経営者が押さえておくべき改正

● 防衛特別所得税の導入

令和9年分以降、所得税額の1%が上乗せ。高所得層では無視できない影響です。

● 教育資金一括贈与の廃止

富裕層が活用していた制度が終了予定。贈与戦略の再設計が必要です。

● 基礎控除引上げ・NISA拡充

中低所得層向けの減税施策もありますが、今回の改正の軸は“富裕層課税の是正”です。


■ 経営者が今考えるべきこと

今回の改正は単なる税率変更ではありません。

✔ 売却タイミングの再検討
✔ 不動産戦略の見直し(小口化商品含む)
✔ 承継計画の前倒し
✔ 納税資金対策の強化
✔ 資産ポートフォリオの再構築

これらを総合的に考える局面に入っています。


■ 税制は「守り」ではなく「戦略」

  • 評価差を使った節税の抑制
  • 超高所得者への課税強化
  • 制度活用のハードル引上げ

これは“構造的な転換”です。

税制を理解し、先回りできるかどうかが、
企業価値・資産価値を左右します。


■ 最後に─今こそ再設計のタイミング

資産も、会社も、
“設計図”を描き直すタイミングが来ています。

制度が変わった後ではなく、
変わる前に動く。

AUUでは、

  • 事業承継設計
  • 小口化商品を含む資産ポートフォリオ再構築
  • 納税資金対策
  • M&A・売却戦略設計

を含め、経営者に伴走型で支援しています。

税制はリスクにもなります。
しかし、戦略に変えれば武器になります。

今の税制を前提に、
“選ばれる企業・守られる資産”を設計しませんか。

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