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ローカルファイルとは?海外拠点をお持ちのオーナー様へ

ローカルファイルとは?海外拠点をお持ちのオーナー様へ

ローカルファイルとは、その税法上の正式名称を、「独立企業間価格算定に必要と認められた書類」と言います。それは、14種類ほどの書類から構成されますが、大きく分けると、「海外子会社との取引の内容を記載した書類」と、「海外子会社との取引に係る独立企業間価格を算定するための書類」の2つに分類できます。移転価格文書とも呼びます。

平成28年度の税制改正 移転価格文書化制度

日本では、平成28年度の税制改正において、原則として、①国別報告事項、②マスターファイル、③ローカルファイル3つの移転価格文書の提出、または、作成・保存が義務化され、「移転価格文書化制度」が再整備されました。このうち、①国別報告事項と②マスターファイルは、平成28年4月1日以後に開始する会計年度において、直前会計年度の連結総収入金額が1,000億円未満の多国籍企業グループは提出が免除されています。ただし、マスターファイルはグループ事業の全体像の把握を可能にするためのものであり、例え連結売上高が1000億円未満であっても、経営管理上は、それを作成しておくことも推奨されています。

一方でローカルファイルは、平成29年4月1日以後に開始する会計年度における海外子会社等との「前期の取引金額(受払合計)」が50億円以上(ロイヤルティなど無形資産取引の場合は3億円以上)の場合、確定申告書の提出期限までに作成(同時文書化)し、原則として、7年間保存する義務があります。この同時文書化義務がある場合には、税務調査において求めがあった場合、税務調査官が指定する45日以内の期日までにそれを提出する必要があります。

「うちは取引金額が50億円未満だから・・・」という同時文書化義務がない場合でも、税務調査において、税務調査官がそれを必要と認めた場合、調査官が指定する60日以内の期日までにローカルファイルに相当する書類を当局に提出する必要があります。ローカルファイル、または、それに相当する書類が指定された日までに税務当局に提出されない場合には、税務調査官は推定課税、または、同業者調査をすることが可能になります。推定課税、同業者調査に基づく課税が行われた場合、納税者の反論は難しく、多額の所得更正を受けるリスクがあります。ローカルファイルの同時文書化義務がなくても、海外子会社等との取引が重要と考えられるような会社では、ローカルファイルを予め準備しておき、税務調査の際には、指定期限内に提出できるようにしておくことが望まれます。

CbCレポートとマスターファイルの導入

CbCレポートは、多国籍グループの最終親会社である日本の企業によって、日本の税務当局に提供され、租税条約に基づく自動的情報交換制度によって海外子会社の所在国の財務当局に提供されます。
また、マスターファイルは多国籍企業グループの構成会社である日本の企業によって、日本の税務当局に提供されるだけでなく、海外子会社を通じて、各国の税務当局にも提出される場合があります。
つまり、日本の税務当局や海外子会社の所在国の税務当局では、今まで入手することが困難であった情報なども、新たな文書化制度によって入手が可能となるのです。そして、それらの資料や情報を分析・検証することで、より詳細なチェックを用意に行うことが可能になります。そのため、多国籍企業グループの移転価格対応は、今までのように親会社と海外子会社が別々に準備を進めているのでは、グループ全体の財務リスクを顕著化させかねません。
よって、今後、多国籍企業グループは、親会社主導によりグループの統一的な「移転価格決定に関するグループ内の基本方針」を策定し、それらのポリシーに基づき、親子間、各海外子会社間において整合性のある移転価格文書を準備しておく必要があります。

親会社と子会社、どちらがローカルファイルを作成するか?

移転価格ポリシーが決定し、実際にローカルファイルの作成を行っていく際にも、求められる文書の種類や関係会社の範囲、作成言語、作成期限や提出期限などに違いがあるため、親会社と現地法人である海外子会社のどちらが主導で作成していくのかといった問題が生じます。
-海外子会社が作成する場合

親会社から移転価格ポリシー、文書の作成方針、コア情報などを提供してもらい、それに基づいて作成した上で親会社にフィードバックするという流れが必要となります。いずれの場合にも、親会社および海外子会社がそれぞれの国の制度を理解した上で、お互いが情報交換を行い協力しながら、ローカルファイルを作成していくことが求められます。

移転価格リスクを軽減するシステム構築を

税法は各国独自のものであり、移転価格税制においても、日本と海外子会社の所在地国では大きな隔たりがあることが少なくありません。そのような中、今後、日本で求められる親会社主導によるグローバル移転価格対応を進めるにあたり、両国の法令に対応でき、企業グループとして移転価格リスクを軽減できるようなシステムを構築していくことが求められます。また、移転価格文書は一度作成すればそれで終わりというわけでなく、毎期更新していくことも必要です。移転価格システムの整備とともに、移転価格文書の精度も徐々に高いものにしておく努力が求められることになります。

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