この記事は令和二年度税制改正により内容を更新しています。
旧記事はこちら
税制改正の概要
令和三年以降、個人購入による、国外の中古不動産の不動産所得において、損失が生じた場合の簡便法による短期減価償却の損益通算が認められないものとなりました。(定額法は可能)
簡便法とは…中古資産の耐用年数を短期で算定する際に用いる一般的な方法です。
法人購入の簡便法による短期減価償却の損益通算は可能
法人購入の場合は税制改正前同様、簡便法による短期減価償却の損益通算は可能で、各年度の減価償却費は、限度額の範囲内であれば自由に調整することが出来ます。つまり、その年度の減価償却費をゼロとし、翌年度以降に繰り越すことも可能です。
キャピタルゲイン狙いの海外不動産投資へ
旧記事でも触れていますが、海外不動産には、
1、上昇する家賃
2、低い空室率と安定的な賃貸経営
3、古い建物に高い需要
等のメリットは健在で、キャピタルゲイン狙いの海外不動産投資の需要拡大が予想されます。
テンサーティーワンエクスチェンジの活用
1031エクスチェンジとは、「テンサーティーワン」と呼ばれる米国の税制度です。この制度は、不動産の所有者が物件を売却した際に発生する売却益を「同種の不動産に投資」(買い替え)すると、キャピタルゲイン税を繰り延べすることができるというものです。
キャピタルゲイン税とは保有する資産の売却により発生する利益に課される税をいいます。海外不動産投資での1031エクスチェンジを活用する場合、売却する物件は投資物件であることが制度利用の条件です。他にも、45日以内に次の購入物件を選定し、合計180日以内に購入取引を完了させる事や、新たに購入する物件は売却する物件の売値と同程度か、それ以上の価格であることも制度利用の条件となります。
税制改正によるキャピタルゲインの魅力
税制改正前までは減価償却による節税メリットを謳っていたため、4年単位での検討が必要でしたが、個人購入による簡便法を用いた短期減価償却がなくなった今後は、長期目線でのキャピタルゲインを狙った投資が可能となります。
また、法人購入の場合は、引き続き簡便法による短期減価償却の損益通算は可能ですが、一方で、個人と同様、海外不動産投資によるキャピタルゲインを狙った投資も選択肢の一つと考える事もできます。
税制改正による海外不動産投資の可能性
海外での金融機関取引はハードルが高いですが、不動産であれば、ある程度、投資しやすい環境である事から、今後は米国のみならず、爆発的成長に期待が持てる地域への不動産投資の検討や、収益物件ではなく非事業用物件であれば対応年数が1.5倍に伸びる仕組みを利用し、例えば投資用木造住宅の耐用年数は22年ですが、非事業用であれば耐用年数は35年となるため、利回りの期間も投資期間も伸ばすことでキャピタルゲインを期待する事も可能となります。
記事による意思決定は、様々な判断材料に基づいて行う必要があります。記事の内容を実行される場合には、専門科等に個別具体的にご相談の上、意思決定ください。本記事をそのまま実行されたことに伴い、直接・間接的な損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。