
クロスボーダーM&Aとは
クロスボーダーM&Aとは、日本企業と海外企業の間で行われるM&Aのことを指します。
日本企業が海外企業を買収する「インアウト型」、海外企業が日本企業を買収する「アウトイン型」の2つがあります。
どちらも、企業の成長や市場拡大を加速させる大きなチャンスとなります。
なぜ、クロスボーダーM&Aは必要か?
1、日本市場の縮小と企業の成長戦略としての海外進出の必要性。
2、海外企業の日本市場への関心の高まり。
3、後継者不足による事業承継の手段としてのM&A。
【インアウト型のメリット】
1、海外市場に即座に参入でき、事業規模を拡大できる。
2、現地のブランドや流通網を活用し、競争力を強化できる。
3、海外の技術やノウハウを取り込み、イノベーションを加速できる。
【アウトイン型のメリット】
1、資金調達の機会を得て、成長スピードを加速できる。
2、海外企業のネットワークを活用し、日本企業単独では難しい市場へ参入できる。
3、後継者不在の企業が、M&Aを通じて事業存続と成長を実現できる。
クロスボーダーM&Aの手法
では、クロスボーダーM&Aはどのように行われるのでしょうか?
主な手法を2つご紹介します。
1、三角合併
海外企業が日本に子会社を設立し、その子会社を通じて日本企業を買収する方法です。
この際、買収に現金ではなく親会社の株式を使うため、資金負担を抑えつつM&Aを進められるのが特徴です。
2、LBO(レバレッジド・バイアウト)
買収対象企業の資産や将来の収益を担保にして、借入でM&Aを実行する手法です。
自己資金が少なくても大規模な買収が可能ですが、M&A後の経営リスク管理が重要になります。
クロスボーダーM&Aの特徴
ブレークアップフィー条項
ブレークアップフィーとは、M&Aの取引が白紙になった時、買い手側から売り手側に支払われる違約金を指します。より有利な条件の相手が現れた場合、その相手との交渉に取り掛かるケースが多く、ブレークアップフィーをあらかじめ定めておくことが重要です。ブレークアップフィーは、売却価格の1~5%程度の価格となります。
デューデリジェンス
また通常のM&Aと比べ、デューデリジェンスの重要性が増すため、実行に多額の費用がかかる点にも注意です。
クロスボーダーM&Aでは、国内M&Aと比較して約1.5倍から2倍もの費用がかかります。
知的財産の取り扱い
特許や商標等の知的財産の取り扱いが、日本とは異なる国も存在します。米国では、特許権は先に発明した人に発生します(日本では先に出願した人)。また、特許の出願や登録に関しても日本とは異なる国も多いです。
M&Aの対価
日本のM&Aでは、クロージングと同時に対価が支払われますが、クロスボーダーM&Aでは、一定期間対価の支払いを留保するケースが多いです。仮に表明保証違反があっても、支払った対価を取り戻すのは困難であるからです。その為エスクロー・エージェントと呼ばれる代理人を活用することがあります。
人材
クロスボーダーM&Aで重要な問題となるのが「人材」です。In-out型M&Aの場合、従業員の反対により、M&Aが円滑に進まないケースがあります。海外企業が日本の従業員をリストラする際、厳しい条件を満たさないと実行できません。日本では、従業員の雇用が最優先だからです。
クロスボーダーM&Aの事例
1、日本の食品メーカーが東南アジア企業を買収し、現地市場を素早く開拓したケースがあります。
2、日本の老舗メーカーが海外企業とM&Aを行い、ブランドを維持しながらグローバル展開を成功させることができました。
成功のポイント
成功の鍵は、
1、文化や商習慣の違いを理解すること。
2、法規制や税制のリスクを把握し、適切な対策を講じること。
3、M&A後の統合(PMI)をスムーズに進め、シナジーを最大化すること。
クロスボーダーM&Aは、成長戦略の一環として有効な選択肢です。
戦略次第で大きなチャンスとなります。
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