
人生100年時代。親から子へ、子から孫へと、資産をどう引き継ぐかは、今や多くの家庭にとって重要なテーマです。
特に2024年は、贈与税と相続税の制度が大きく見直され、これまでの常識が通用しなくなりつつあります。本記事では、制度改正の要点を押さえつつ、「贈与の正しいやり方」や「損をしない制度の選び方」について、わかりやすく解説していきます。
■ なぜ今、贈与税と相続税が注目されているのか?
これまで「生前贈与」で節税するのが常識でした。特に、毎年110万円までの「暦年贈与」は多くの家庭で活用されてきました。
しかし、2024年1月から制度が大きく変わりました。
これにより、
- 生前贈与の相続財産への加算期間が「3年→7年」に延長
- 「相続時精算課税制度」にも年間110万円の非課税枠が新設
という大きな変更があり、「これから贈与をどう行うか」がますます重要になっています。
■ 贈与の基本:暦年課税と相続時精算課税
贈与税には大きく2つの制度があります。
【1】暦年課税制度
- 年間110万円まで非課税
- 超過分は累進課税(10〜55%) ※1
- 長年使われてきた、柔軟な贈与の方法
※1 【暦年課税制度:贈与税の速算表(2024年現在)】
課税される贈与額(年間) | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | 10万円 |
300万円以下 | 15% | 25万円 |
400万円以下 | 20% | 45万円 |
600万円以下 | 30% | 85万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
この表は、「110万円を超える贈与をした場合に、いくら贈与税がかかるか」を計算するための基準になります。
たとえば、「年間300万円を贈与」した場合は…
課税額は300万 − 110万 = 190万円 → 200万円以下の税率(10%)が適用され、
贈与税額は 190万円 × 10% − 10万円 = 9万円 となります。
【2】相続時精算課税制度
- 2,500万円まで非課税(超過分は20%)
- 贈与者が亡くなった時に、贈与分もまとめて相続税として精算
- 2024年から年間110万円まで非課税枠が追加
相続時精算課税制度では、2,500万円を超える贈与に20%の贈与税がかかりますが、この税額は将来の相続税から差し引かれます。つまり、税金を二重に支払うことにはなりません。
ただし、相続税が少ない場合には、贈与税を全額控除しきれず、負担が結果的に重くなるケースもあるため注意が必要です。
どちらを選ぶかで、将来の税金が大きく変わります。
■ 制度改正で何が変わった?
2024年の税制改正では以下の点が大きなポイントです。
内容 | 改正前 | 改正後(2024年〜) |
---|---|---|
暦年贈与の相続加算期間 | 死亡前3年以内 | 死亡前7年以内 |
相続時精算課税の基礎控除 | なし | 毎年110万円の非課税枠 |
暦年贈与の非課税枠 | 110万円 | 継続中(変更なし) |
これにより、「とりあえず毎年110万円ずつ贈与していけば安心」という時代は終わりを迎えつつあります。
■ みなし贈与に要注意!
次のようなケースでは、意図せずに「贈与」とみなされ、贈与税が課される可能性があります。
- 不動産を極端に安い価格で譲る
- 借金を肩代わり・免除する
- 子どもの名義で貯金していても、実際は親が管理している場合(名義預金)
「これは贈与に当たる?」と迷ったら、税理士など専門家に相談するのがベストです。
■ 相続時精算課税を使った場合の流れ
- 60歳以上の親や祖父母 → 18歳以上の子や孫に贈与
- 2,500万円まで非課税(110万円の年次控除も利用可)
- 贈与者の死亡時、相続財産に加算して相続税を再計算
ポイント:制度を一度選ぶと、暦年課税には戻せません。
■ そのまま贈与 vs 相続時精算課税:どちらが得か?
ケースバイケースですが、以下の考え方が参考になります。
- 少額ずつ、長期間にわたり贈与したい → 暦年課税
- 住宅購入や事業資金など、まとまった資金を渡したい → 相続時精算課税
どちらの制度が「得か」は、そのご家庭の資産構成や将来の相続額によって異なります。
■ 専門家とともに「贈与のかたち」を選ぼう
2024年の制度改正により、贈与はこれまで以上に「戦略」が求められる時代になりました。
- 無計画な贈与は損をする可能性も
- 正しく制度を使えば、大きな節税につながることも
人生の中で何度もない「贈与」のタイミング。ぜひ専門家と相談しながら、家族にとって最適な「贈与のかたち」を選びましょう。
◾ まとめ
- 2024年以降、贈与・相続の制度は大きく変わった
- 暦年課税か相続時精算課税かの選択がカギ
- 非課税枠や加算年数の変更点を把握しておくことが重要
- 贈与は、節税・資産承継・家族の未来設計に深く関わる
今こそ、正しい知識と計画で、未来につながる「贈与」を。
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