2017年1月より、「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」がスタートしました。
「セルフメディケーション税制」とは、健康診断などを受けている人が、一部の市販薬を購入した際に所得控除を受けられる制度です。
医療費控除よりもハードルが下がり、対象者は誰でも申請できる制度です。10万円以上で申請できた従来の医療費控除と異なり、1万2000円以上で申請できることが特徴です。 厚生労働省のWebサイトに掲載されている医薬品(2019年3月31日現在、1,723品目)が対象となります。
対象製品の多くには共通識別マークが表示されています。
対象となるのはどんな人?
この制度の対象となるのは、「健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人」として、定期健康診断などを受けている人で、市販薬(要指導医薬品および一般用医薬品)のうち、医療用から転用された特定成分を含む医薬品を年間1万2000円以上購入した際に、所得控除を受けることができます。なお、控除の対象となるのは、1万2000円を超えた部分の金額で、上限金額は8万8000円となっています。
対象の検診とは?
医療用医薬品からの代替を進める目的から、所得税や住民税を納めていて、下記のいずれかを受けている人が対象です。また、申告する本人が検診を行っていない場合は控除を受けることはできません。
・特定健康診査(メタボ健診)または特定保健指導
・予防接種(定期接種、インフルエンザの予防接種)
・勤務先で実施する定期健康診断(事業主検診)
・保険者(健康保険組合、市区町村国保等)が実施する健康診査(人間ドック、各種健(検)診等)
・市町村が健康増進事業として実施するがん検診
・市区町村が健康増進事業として実施する健康診査(生活保護受給者等を対象とする健康診査)
従来の医療費控除と併用できるのか
この制度は「医療費控除の特例」とあるとおり、医療費控除の一部であるため、「従来の医療費控除制度とセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)を同時に利用することができない」点に注意しましょう。従来どおり、10万円を超えた医療費の所得控除を受けるか、この「セルフメディケーション税制」で所得控除を受けるかは、申告者がどちらかを選択することになります。
申告するには?
これまでは1年間(1月1日~12月31日)に自己負担した医療費の合計が10万円を超えなければ※活用できなかった医療費控除ですが、この「セルフメディケーション税制」の施行により、定期健康診断、予防接種などを受けている人で、対象となる市販薬を家族の購入分を含めて年間12,000円を超えて購入した人は、確定申告することで所得控除が受けられるようになります。※年収200万円未満では所得の5%が控除。
ドラッグストアや薬局等にて市販薬を購入した際に受け取ったレシートや領収書は捨てずに保管しておきましょう。
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