「私は、霜降りよりも赤身が好きなんです。」
そう語るのは、株式会社ミートタカモリ 代表取締役の高森雄大氏 だ。
肉の世界に身を置く人間がこう語ると、意外に思われるかもしれません。
しかし、私が心から惚れ込んでいるのは、黒毛和種×ジャージー種の第一世代(F1)と呼ばれる牛肉です。
一般には「国産牛」として流通するこのF1は、A5等級の黒毛和種と、同じ生産者が、同じ環境・同じ飼料で育てているケースも少なくありません。
それにもかかわらず、市場では価格が2倍以上違う。
この違いを生んでいるのは、味ではなく格付け評価です。
「美味しさ」ではなく「情報」を食べている現実
現在の牛肉流通は、霜降りの度合い(サシ)や枝肉の大きさを基準とする等級制度に強く支配されています。
極端に言えば、
「A5だから旨い」
「〇〇産だから間違いない」
という選び方は、味ではなく“情報”を食べている状態です。
この構造は、今や大きなミスマッチを生んでいます。
消費者:脂が重すぎない、美味しい赤身が食べたい
生産者:評価され、高く売れる霜降りを作らざるを得ない
「食べたいもの」と「作られるもの」が噛み合わない。
その歪みが、牛肉の本当の多様性を奪ってきました。
牛肉の美味しさを決めるのは、等級ではありません。
餌・環境・生産者の哲学、そして管理と調理の技術。
ここにこそ、本質があります。
“良し悪し”から“好き嫌い”へ─牛肉の価値観を再定義する
私は、牛肉もワインやコーヒーのように選ばれる世界を目指しています。
・生産者はどんな哲学で牛を育てているのか
・どんな血統で、どんな環境で育ったのか
・どんな人に、どんな食べ方が合う肉なのか
それを知った上で、
「これは自分が好きな味だ」
と選ぶ。
等級という“単一の物差し”ではなく、個人の嗜好で選ぶ文化へ。
それが、これからの牛肉のあるべき姿だと考えています。
規格外野菜と同じ構造─食文化が抱える歪み
この問題は、牛肉に限った話ではありません。
野菜の世界には、形が少し違うだけで「B品」「規格外」とされる作物があります。
しかし、生産者も畑も育て方も同じなら、味の価値は変わらないはずです。
私は、A品もB品も同じ価格で買い取り、同じ価値として届ける仕組みを選びました。
それは効率や常識から見れば異端かもしれません。
けれどこれは、単なる商売ではなく、食文化を取り戻すための社会運動だと考えています。
究極のパーソナライズが生む、新しい食体験
「食べたいもの」を「作りたいもの」へ。
その循環を生み出すために、私が徹底しているのは次の3つです。
✓ ストーリーの共有
生産者の哲学や背景を、“美味しさの理由”として伝える。
✓ 徹底した品質管理
酸化を極限まで抑え、化学調味料に頼らず、肉本来の味を届ける。
✓ 一人ひとりに合わせた提案
保存方法、焼き方、食べるタイミングまで含めて、その人にとっての「好き」を一緒に探す。
販売者だからこそできることは、モノを売ることではなく、価値観をつなぐこと。
消費者と生産者のコミュニケーションの形を変えることこそが、私の使命です。
最後に─「A5を食べない」という選択肢
A5ランクを否定したいわけではありません。
ただ、「A5だけが正解」という神話から、私たちは自由になるべきだと思うのです。
牛肉は、もっと多様で、もっと個人的でいい。
等級ではなく、あなたの“好き”で選ぶ。
その一歩が、食卓を変え、生産現場を変え、
やがて日本の食文化そのものを豊かにしていく。
私は、そう信じています。
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