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リストリクテッド・ストック(譲渡制限付株式)とは?

リストリクテッド・ストック(RS)の意味

会社の収益力の向上、中長期的な企業価値の向上を目指し、経営陣を対象とした、新たな役員インセンティブ報酬のことで、特定譲渡制限付株式、または特定譲渡制限付株式報酬のことを指します。

「中期経営計画の業績目標(有価証券報告書に記載される利益指標)を達成すれば、自社の現物株式を譲渡する」という一定期間の譲渡制限を設定することで、経営陣に対するリテンション効果(必要な人材の確保施策)と株主目線での経営を促進させる効果があります。

日本でも導入を促進しており、2016年度税制改正(会社法)に、リストリクテッド・ストックの導入手引書を公開しています。

ストックオプションとの違い

ストックオプションとは、自社株を市場よりも優遇された価格で購入できる「新株予約権」を報酬として付与する制度です。利用することで、通常の株式取引よりもキャピタルゲイン(株式売却益)を得やすいメリットがあります。

リストリクテッド・ストック役員の現物出資と交換で、金銭報酬債権(株式)を付与する方式を採用しています。また、付与後は一定期間譲渡できないという譲渡制限期間が設けられており、期間中は一定の勤務条件を満たさなければ、没収されてしまうという点に違いがあります。ストックオプションでは、自社株の市場価値が上昇した時点で保有株式を売却し、退職してしまうリスクがあることから、役員報酬としては最適ではないとも指摘されています。

ストックオプションでは購入価格よりも市場価格が下回れば、損失につながりますが、リストリクテッド・ストックは株式保有を続ける限り、中長期の株価向上によるインセンティブが継続できるメリットがあります。

リストリクテッド・ストック(RS)のメリット

株主目線での経営促進

株主は出資する企業が中長期的に成長できるかを判断し、投資を行ないます。リストリクテッド・ストックには、中長期の株価向上によるインセンティブ報酬のため、付与された役員は株主目線での経営に取り組むようになります。

役員のリテンション効果

リストリクテッド・ストックは自社株の付与後、一定期間の譲渡制限が設けられ、取締役会で定めた事業期間の業績を評価し、自社株式が付与されます。これにより優秀な人材を経営陣として留任することが可能となります。

中長期的な企業価値向上

リストリクテッド・ストックは企業の収益力と中長期的な企業価値の向上を目的にしています。短期的な売上や利益を追求する経営ではなく、将来を見据えた経営を行なう上で効果的な報酬制度といえます。

運用コストの軽減

リストリクテッド・ストックなどの株式報酬制度は、登記費用等のコスト以外に支出はありません。制度を維持するための運用コストもかからず、費用面でもメリットといえます。

リストリクテッド・ストック(RS)のデメリット

報酬獲得後、優秀な人材の流出

一定の譲渡期間制限が設けられていますが、期限を迎えれば、付与された自社株を自由に売買することが可能です。ストックオプションよりもキャピタルゲイン(株式売却益)を得やすい分、譲渡期間制限が終了後に人材流出の可能性もあります。

適正な導入・会計処理が条件

2016年に行われた税制改革と会社法の整備により、リストリクテッド・ストックの導入が可能となりましたが、適切な導入方法や会計処理を踏まなければ、金融取引法に抵触する恐れがあります。

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